従業者は、お客様に最前線でサービスを提供するスペシャリストです。コミュニケーションによるオープンで誠実な人間関係を築き、チームワークを大事にし、お客様に対して驚きの体験をお届けする必要があります。ガイドラインの内容に沿って組織のサービス品質と顧客満足の向上に取り組みます。
【適切な支援と質向上】
①PDCAサイクル等による適切な支援の提供
ア.障害児支援利用計画と個別支援計画の理解
障害児相談支援事業所が作成する障害児支援利用計画は、相談支援専門員が総合的な援助方針や解決すべき課題を踏まえ最も適切なサービスの組合せ等について検討し、子ども又は保護者の同意のもと作成するものである。個別支援計画は、児童発達支援管理責任者が障害児支援利用計画における総合的な援助方針等を踏まえ、当該事業所が提供するサービスの適切な支援内容等について検討し、子ども又は保護者の同意のもと作成するものである。両計画が連動して機能することによって、子どもに対する支援がより良いものとなっていき、この連動の重要性を認識しておく必要がある。従業者は、個別支援計画の作成、モニタリング、変更に際しては積極的に関与するとともに、利用している子どもの障害児支援利用計画と個別支援計画の内容について熟知し、日々の支援を行う必要がある。
イ.従業者間での意思の疎通、支援内容の共有
支援開始前には従業者間で打合せを実施し、その日行われる支援の内容や役割分担について把握する。他の従業者と常に意思の疎通を図り、円滑なコミュニケ ―ションがとれるよう努める。支援終了後の打合せを実施し、その日の支援の振り返りを行い、子どもや保護者との関わりで気付いた点や気になったことについて共有する。
ウ.支援提供に際しての工夫
従業者は、本ガイドラインの総則に記載されている基本的役割、基本姿勢等を十分に理解した上で支援を行う。従業者は、子どもの発達と発達支援に関する専門的知識、技術及び判断を持って、子どもの発達支援を行うとともに、 保護者に対して発達支援に関するサポートを行う。従業者は、児童発達支援管理責任者が作成するタイムテーブルに沿って、それぞれの子どもたちの障害種別、障害特性、発達段階、生活状況や課題に細やかに配慮しながら支援を行う。従業者は、活動プログラムの作成に積極的に関与する。視覚障害や聴覚障害等の障害種別に応じて、 設備・備品への配慮のほか、子どもや保護者との意思の疎通、情報伝達のための手話等による配慮が必要である。
エ.支援提供記録
従業者は、その日行った支援の手順、内容、子どもの反応や気付きについて、記録をとらなければならない。支援提供記録を正しくとることを通して、その日行った自らの言動や子どもの様子、反応をふりかえり、個別支援計画に沿って支援が行われているか、掲げた目標が達成されつつあるか等について支援提供を検証し、支援の改善や自らのスキルアップにつなげていく。
オ.事業所全体の業務改善サイクルへの積極的関与
事業所の目的及び運営方針をはじめとした運営規程の内容を十分に理解して職務に従事する。従業者は、PDCAサイクルによる事業所全体の業務改善の取組に積極的に関与し、事業運営方針の設定や見直し、業務改善の目標設定とその振り返りに関与し、本ガイドラインに基づく事業所の自己評価の実施や利用者の意向の把握等について協力、貢献することが求められる。
【研修受講による知識・技術の向上】
放課後等デイサービスを適切に提供する上で、期待される役割、子どもの発達段階ごとの特性、障害種別、障害特性、関連する制度の仕組み、関係機関の役割、児童虐待への対応、障害者の権利に関する条約等を理解することが重要である。障害種別や障害特性に応じた支援や発達段階に応じた支援、家族支援等に係る適切な技術を従業者が習得することが、子どもの発達支援や二次障害の予防、子どもの育つ家庭での生活を支える視点から重要である。従業者の知識、技術の向上は、提供内容の向上に直結するものであることを理解し、実務能力の向上のために事業所内で開催される研修等に積極的に受講することが求められる。知識、技術の習得に関する具体的な計画を立てる等により、将来に対する見通しを持ちながら研修等を受講していくよう心がける。
【関係機関・保護者様との連携】
ア.障害児相談支援事業者等との連携
サービス担当者会議に参画する場合においては、障害児支援利用計画案に位置づけられた期待される役割を確認するとともに、障害のある子どもが他の子どもや地域社会から安易に隔離されないための配慮等、子どもの最善の利益の観点から意見を述べることが重要である。障害児支援利用計画のモニタリン グ時には、その時点までの提供状況を踏まえて、課題への達成度や気づきの点等の情報を積極的に述べることが重要である。
イ.学校との連携
子どもに必要な支援を行う上で、学校との役割分担を明確にし、連携を積極的に図る必要がある。
学校で作成される個別の教育支援計画等の内容を把握しておくとともに、学校から提供された各種の情報を理解し、本人の状態や支援の方法、留意点、学校の行事予定等について把握しておく。子どもの学校から事業所への送迎に際しては、送迎リストの内容や送迎時の学校側とのルールを事前に把握し、送迎時には身分証明書を学校側の担当者に見せる等確認を取ってから、子どもを事業所に送っていくことを徹底する。下校時のトラブルや子どもの病気、事故の際の連絡体制について、事前に把握しておく。医療的ケアの情報や気になることがあった場合の情報等を保護者の同意のもと、連絡ノート等を通して学校との間で共有する。
ウ.保育所・児童発達支援事業所との連携
子どもの発達支援の連続性を保障するため、就学前に利用していた保育所等や児童発達支援事業所等で行われていた支援内容について理解しておくこと。
エ.他の放課後等デイサービス事業所等との連携
発達支援上の必要性により、他の放課後等デイサービス事業所等を併行利用する子どもについて、 支援内容を相互に理解しておくため、保護者の了解を得た上で当該他の事業所との間で相互の個別支援計画の内容等を理解しておく。
オ.放課後児童クラブ等との連携
地域の放課後児童クラブ等と連携し、併行利用している子どもがいる場合は、放課後児童クラブ等における支援内容について理解しておく。
カ.保護者との連携
学校への子どもの出欠や帰宅の状況について、保護者との連絡のもとに確実に確認することが必要である。医療的ケアの情報や気になることがあった場合の情報等を連絡ノート等を通じて保護者と共有する等を通じて、日頃から子どもの状況を伝えあい、発達の状況や課題について共通理解を持つように努める。必要に応じて、家庭内での養育等について、児童発達支援管理責任者の指導の下、ペアレント・トレーニング等活用しながら、子どもの育ちを支える力をつけられるよう支援したり、環境整備等の支援を行ったりすることが考えられる。
【説明責任】
①保護者に対する相談支援等
児童発達支援管理責任者の指導の下、保護者が悩み等を自分だけで抱え込まないように相談に応じ、信頼関係を築きながら困惑や将来の不安を受け止め、専門的な助言を行うことが必要である。例えば、定期的な面談(最低限モニタリング時に実施することが望ましい)や訪問相談等を通じて、子育ての悩み等に対する相談を行ったり、子どもの障害について理解が促されるような支援を行うことが望ましい。
②苦情解決対応
放課後等デイサービスに対する子どもや保護者からの苦情(虐待に関する相談も含む)について、設置者、管理者と児童発達支援管理責任者の指導の下、 適切な対応を図る必要がある。
【緊急時の対応と法令遵守】
①緊急時対応
子どもの事故やケガ、健康状態の急変が生じた場合は、「緊急事態への対応マニュアル」に沿って、速やかに保護者、協力医療機関及び主治医への連絡を行う等の必要な措置を講じなければならない。緊急時における対応方法については理解し、予め設定された役割を実行できるように訓練しておく。
②非常災害・防犯対応
従業者は、災害時避難場所や避難経路等、非常災害に関する具体的計画について十分に熟知し、非常災害時に子どもたちを誘導できるよう定期的に訓練しておく。障害種別や障害特性ごとの災害時対応について理解しておき、子どもごとの個別支援計画に災害時の対応について記載されている内容を理解しておく。子どもが犯罪に巻き込まれないよう、事業所が策定する防犯マニュアルの内容を理解し、地域の関係機関と連携しての見守り活動、子ども自身が自らの安全を確保できるような防犯への取組に対して児童発達支援管理責任者の指導の下、取り組む必要がある。
③虐待防止の取組
事業所内で実施される虐待防止研修や自治体が実施する虐待防止研修等を積極的に受講する「障害者福祉施設・事業所における障害者虐待の防止と対応の手引き」を必ず読む等により、児童虐待防止法や障害者虐待防止法の趣旨と通報制度等を理解し、発生予防に努める 。各都道府県で実施する虐待防止や権利擁護に関する研修を受講した場合には、伝達研修を実施することが重要である。従業者が虐待を発見しやすい立場にあることを認識し、子どもの状態の変化や保護者の態度等の観察や情報収集により、虐待の早期発見に努める必要がある。従業者等からの虐待(特に性的虐待)は、密室化した場所で起こりやすいことから、送迎の車内を含め、密室化した場所を極力作らないよう、常に周囲の目が届く範囲で支援を実施する必要がある。従業者等から虐待を受けたと思われる子どもを発見した場合は、障害者虐待防止法第16条に規定されている通報義務に基づき、支給決定をした市区町村の窓口に通報する。この時に、市区町村に通報することなく、事業所の中だけで事実確認を進め、事態を収束させてしまうと通報義務に反することとなるため、必ず市区町村に通報した上で行政と連携して対応を進める必要がある。保護者による虐待については、相談支援やカウンセリング等で未然防止に努める必要がある。保護者による虐待を発見した場合は 、児童虐待防止法第6条に規定されている通報義務に基づき、市区町村 、都道府県の設置する福祉事務所又は児童相談所等へ速やかに通告する。虐待等により福祉的介入が必要とされるケースについては、市区町村等が設置する要保護児童対策地域協議会等を活用しながら、児童相談所、市区町村の児童虐待対応窓口や保健所等の関係機関と連携して対応を図っていくことが求められる。
④身体拘束 への対応
従業者等が自分の体で利用者を押さえつけて行動を制限することや、自分の意思で開けることのできない居室等に隔離すること等は身体拘束に当たり、緊急やむを得ない場合を除き禁止されている。やむを得ず身体拘束を行う場合は、切迫性、非代替性、一時性が要件となるが、身体拘束の検討が必要なケースについては、代替性がないか等について慎重に検討した上で、それでもなお、身体拘束を行わざるを得ない事態が想定される場合には、いかなる場合にどのような形で身体拘束を行うかについて組織的に決定する必要がある。個別支援計画に身体拘束が必要となる状況、身体拘束の態様、時間等について、子どもや保護者に事前に十分に説明をし、了解を得た上で記載されていることが必要である。身体拘束を行った場合には、その様態及び時間、その際の子どもの心身の状況並びに緊急やむを得ない理由等必要な事項を記録する。なお、必要な記録を行っていない場合は、運営基準違反となることを認識しておく必要がある。
⑤衛生管理・健康管理
感染症の予防や健康維持のため、常に清潔を心がけ、手洗い、うがい、手指消毒の励行、換気等の衛生管理を徹底することが必要である。感染症又は食中毒が発生した場合や排泄物や嘔吐物等に関する処理方法について対応マニュアルを熟知し、マニュアルに沿って対応する。食物アレル ギーのある子どもについては、医師の指示書に基づき、食事やおやつ提供する際に、除去食や制限食で対応する。
⑥安全確保
日常の生活、遊びの中で起きる事故やケガを防止するために、室内や屋外の環境の安全性について、毎日点検し、必要な補修等を行って危険を排除することが必要である。ヒヤリハット事例集作成に協力し、内容を理解し実施する。
⑦秘密保持等
従業者は、他人が容易に知り得ない個人情報を知りうる立場にあり、個人情報の適正な取扱いが強く求められる。関係機関に子ども又は保護者に関する情報を提供する際は、あらかじめ文書により同意を得ておかなければならない。また、ホームページや会報等に子ども又は保護者の写真や氏名を掲載する際には、許諾を得ることが必要である。その職を辞した後も含めて、正当な理由がなく業務上知り得た子どもや保護者の秘密を漏らしてはならない。
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